外国税額控除について

投資話

3月14日にギリギリで確定申告を済ませました。
例年は2月中には終わらせるのですが、今年からは米国株の配当があるため外国税額控除について調べるのを放置していたら遅くなりました。

外国税額控除とは

海外で一度源泉徴収された後、さらに国内で源泉徴収されるために2重課税となる。
これを回避するために外国源泉徴収分は控除しますよ、という制度です。

具体的に米国株配当の場合では、100ドル配当を受け取ったと仮定して
現地(米国)で10%の課税を受け、10ドルが源泉徴収されます。
続いて残りの90ドルが国内で20%の課税を受けるため、18ドルが源泉徴収され、72ドルが実際に受け取る金額になります。本来払うべき100ドル×20% =20ドルを超えているので優遇しましょうという制度です。

※正確には国内の源泉徴収はドルベースではなく、日本円ベースで計算されドルで徴収されます。為替レートの影響を受けるため、同じ100ドル配当だったとしても72ドルになるわけではなく数%の変動が生じます。

外国税額控除の上限について

所得税の控除限度額=所得税の額×(国外所得金額/所得総額)

ざっくり言うと”外国所得に対する外国源泉徴収の税率”が”全体の所得税の実効税率”以下なら全額控除するよ、ってことです。

具体的には課税所得500万の人であれば、その年の所得税はだいたい57万前後ですから実効税率は11%台です。
上記の例で米国で100ドル配当収入があった場合、10ドル現地で源泉徴収されるわけですが、この税率は10%で上記の実効税率11.4%を下回ります。全額控除の対象となるため、確定申告でこの10ドルは控除(還付)されます。

一方で課税所得が低くなると、実効税率が外国源泉徴収税率を割りますので、全額控除されないことになります。
また米国以外の国、例えばカナダのADRでは15%の税率で源泉徴収されますので、こういった銘柄も課税所得が500万程度では全額控除の対象になりにくいでしょう。

上記の話は給与所得が主たる所得の人の場合です。株の配当や株の売買が主たる所得の場合は話が少し変わってきます。
というのも配当や株売買の税率は20%で、そのうち15%が所得税です。給与所得の所得実効税率が一桁だったとしても、株式関連の所得が大きければ所得税の実効税率も15%に近づいてくるので、米国株のような10%程度の現地課税は取り戻せる公算が大きくなります。

また外国所得税額>外国税額控除額、外国税額控除額>外国所得税額のいずれの場合であっても3年は繰り越しすることができます。
つまり控除されきれなかった外国所得に関しては3年間繰り越すことができ、控除余力が生じた場合も3年繰り越すことができます。

まとめ

  • 実行所得税率が10%を超えれば、米国配当所得の現地課税分は取り戻すことができる。
  • 給与所得のみであれば課税所得430万が実効所得税10%のボーダー。
  • 株式等の所得が多いほど、実効所得税は高くなるため有利。

コメント