銘柄検討その7
3月決算、JASDAQ上場、時価総額120億のムロコーポレーションです。
エンジンやブレーキのようなメインユニットではなく、いわば”すき間的”ニッチ分野での自動車関連部品と、「世の中にあったらいいな」というニュージャンルの製品を造っています。その数は15,000種類以上におよび、国内では大手自動車メーカー11社に採用されています。
2017年3月決算
売上高 192億円、営業利益23億円、経常利益24億円、純利益18億円
営業利益率12.0%
EPS301円、DPS33円、BPS2239円
ROE14.4%、ROA9.4%
自己資本比率66.9%
5月17日時点の株価1780円
5年前と比べてみます。
H24年 | H29年 | |
売上高 | 150億 | 192億 |
営業利益 | 11.6億 | 23億 |
経常利益 | 13.0億円 | 24億 |
純利益 | 7.3億円 | 18億 |
営業利益率 | 7.8% | 12.0% |
EPS | 119円 | 301円 |
DPS | 20円 | 33円 |
BPS | 1375円 | 2239円 |
ROE(当期純利益/-) | 9.0% | 14.4% |
ROA(経常利益/-) | 8.5% | 9.4% |
総資産 | 161億 | 207億 |
現金同等物 | 44億 | 40億 |
長期+短期借入金 | 17.5億 | 14.9億 |
1953年創業で、1993年にカナダに進出。1995年にアメリカ子会社を立ち上げ、2005年にベトナム子会社、2012年にインドネシア子会社、タイに合弁で販社設立と着々と海外進出を続けている。2013年にはアメリカ子会社を設備増強しているようで、2015年9月からはインドネシア子会社の生産が始まり、H29.3月期に18億規模の設備投資を行い菰野工場第2棟建設、ベトナム工場第2棟建設を行っている。
H24年3月期とH29年3月期とを比べると売上高は
H24:日本134億、米国13億、欧州1.4億、その他1.2億
H29:日本151億、米国31億、欧州1.6億、東南アジア7.3億、その他0.8億
日本での売上増以上に海外分が伸びており、東南アジアに至ってはその他の括りから独立した。H30.3月期には国内工場・ベトナム工場分が寄与してくるだろう。
売上高の伸びや営業利益率の改善はニチリンを彷彿とさせる数字ですね。違いがあるとすればこちらはキャッシュをブタ積みせず(できず?)、設備投資や一部有価証券に変えているところですかね。またニチリンはブレーキホースという分かりやすい柱がありましたが、ムロコーポレーションはニッチな分野で勝負するとHPでも謳っており、扱う部品が多種にわたるため外部から当社製品の強みを把握するのは困難です。ただ日系メーカー11社と取引があり、最も取引額の多いトヨタでも20億円(1割弱)程度と分散が効いているため、自動車産業全体が低迷しないかぎりは急速な業績悪化は起こりにくいだろう。
配当に関してはもともと20円配だったのが、H27.3月期から25円、30円、33円(記念配3円含む)と着実に増配している。配当性向についての言及はないが、15-20%となっており15-20%を目途にということなのだろう。H30年3月期は予想EPS244円で35円に増配の予定だ。
現在の株価は1780円で、H29年3月期のEPSをベースに見るとPER6倍以下、予想EPS244円でみると予想PER7.2倍で割安といえる。当社の期初予想は過去5年間を見ると、かなり精度が高く(特に売上高)ニチリンのように保守的な予想ではない。予想EPS244円は為替の影響がなければかなり近い水準になると思われ、PER7倍で放置されることもよくある自動車部品産業なので今の株価ですぐに飛びつくかは微妙だ。第1四半期で好決算を出し上振れが予想されるニチリンでさえ、依然として予想PER7倍以下だ。今の水準からじわじわ買い下がりながら1500円台に入れば強めに買っていくのがベター。
2100円前後までの株価上昇はあってもそれ以上は業績の上方修正がない限りは厳しいか。
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