本日のメインはポートフォリオ1位のニチリンです。
本日の決算発表と同時に12月31日付けで1:1.3の株式分割を発表しました。
優待については据え置きで、実質的な改善になります。
個人的には株価が2000円程度までの方が買いやすいので、半端な分割ではなく2分割にして欲しかったです。
また配当についても期末を2円増配し26円配と修正しました。通期では44円配当となり、前期34円から10円の増配になります。とはいえ来期の予想EPSは471円であり、配当性向は10%未満です。
決算内容については安易に喜べる内容ではありません。
第3四半期の売上は前期比+17%、営業利益+26%、経常利益+45%、純利益+43%と大幅な増益ですが、8月に上方修正した通期予想と比べるとパッとしません。
各四半期ごとに分解すると以下の通りです。
第4四半期は通期の業績予想から第3四半期を引いた差分を表示しています。通期業績予想を達成するために必要な数字です。
第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | (第4四半期) | |
売上高 | 15,084 | 13,923 | 14,465 | 13,228 |
営業利益 | 2,400 | 1,990 | 1,977 | 1.933 |
経常利益 | 2,321 | 2,077 | 2,035 | 1,867 |
純利益 | 1,369 | 1.309 | 1,017 | 1,505 |
EPS | 124 | 118 | 92 | 137 |
過去3年分のニチリンの四半期ごとの推移をみると、
EPSの悪い四半期と良い四半期を比較すると1.5~2倍程度の差が見られます。
またEPSは第4四半期が最も高くなる傾向にあります。
営業利益については高低で1.3倍程度のばらつきがあります。
おそらく売上、営業利益、経常利益については第3四半期までと同等以下の水準で通期予想が達成できるため、これらの指標は問題なく通過するでしょう。ただ純利益については達成可能なぎりぎりのラインに見えます。
8月に通期予想をEPS471円に上方修正した際には、保守的なニチリンのことだから471円は保守的でさらなる上振れも期待できると踏んでいたのですが、楽観的に考えるのはやめた方が良さそうです。ニチリンの業績予想は為替が1ドル110円をベースに考えているので、円安であれば上振れ、円高であれば下振れします。現在は113円程度ですので、このままなら通期予想は達成したうえで、為替差益が上乗せになります。しかし110円は容易に突破しそうな水準ですので、円高局面で通期EPS未達の可能性が出てきました。起こりうるEPSのレンジは430-500円程度と思われます。加えて、2月本決算時に発表する来期の予想に関しては、保守的に発表する傾向のあるニチリンですからEPS400円(1.3分割を考慮せず)といった当初予想を出すことも十分考えられます。ということは本決算を跨ぐ場合には、最悪のシナリオでの株価の下限としてPER7倍×EPS400円 = 2800円を意識しておく必要があります。
と、こんな暗い話はきちんと分散投資している方は考える必要ありません。私のように資産の約半分をニチリンに置いていると、リスクを計算するために常に最悪のシナリオを考える必要があるのです。今回の例でいうと株価2/3になる可能性を十分に考慮して、ポジションサイズを変更する必要があり、かつ暴落の際に淡々と売っていく覚悟をしておくのです。
とはいえ、今回の決算内容は「増配」「分割」という2つの大きなポジティブサプライズがあり、素直に喜んでいい内容です。分割にまで踏み切っているのは経営陣の自信の表れでしょうし、明日からも株価は上がっていくでしょう。ホルダーのみなさま、おめでとうございます。
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