銘柄検討その8-2
RVHです。前回の記事は情報収集しながら書き殴っていたので読みにくかったですね。細かな数字の変動は除いてなるべく簡潔にまとめ直しました。2012年以前は記録が辿れないので憶測が含まれます。
RVH創業 1996-2012
医療用モニタ向けグラフィックボードで創業。2000年にマザーズ上場するも赤字が続き、2012年には売上高1.6億・純損失2.6億を記録。
シスウェーブとの資本提携 2012-2014
業績不振に伴い2012年にソリトンシステムズを相手に第三者割当増資を行う。ソリトンは株式をシスウェーブ(のちのSOL holdings)へ譲渡し、シスウェーブとの本格的な提携が始まる。併せてRVH創業社長の退職に伴いシスウェーブ社長の池畑氏が社長へ任命される。
しかし2014年にシスウェーブ側の都合により資本提携は解消へ。シスウェーブは保有していたRVH株(約26%)をアンビシャスグループへと譲渡する。しかし、アンビシャスグループがシスウェーブに渡した手形が不渡りとなり、シスウェーブ 18%、アンビシャスグループ8%保有という状態へ陥る。
現社長-沼田英也氏への交代 2014.6~
このような経過の中で池畑氏は代表取締役を退くことになる。代わりに社外取締役 若尾氏からの紹介で社外から沼田氏が招かれ、後任に選ばれた。
直後から既発の新株予約権を買い戻したり、シスウェーブへの貸付金を回収している。シスウェーブ(SOL holdings)は返済に困り、保有するRVH株(18%)をユーキトラストへ売却している。SOL holdings側のIRによると「リアルビジョン普通株式 1,130,000 株の譲渡先を選定している中で、今年 7 月中旬にリアルビジョン代表取締役である沼田英也氏の関係でユーキトラストの佐藤浩一氏をご紹介いただきました」とある。
また買い戻した新株予約権33万株(5%)についても10月に個人宛(沼田英也の個人的な知人である河口臣氏)に売却している。
DSC買収 2014.10~
RVH再建のため、M&Aにて業容拡大する方針となり、DSCの買収劇が始まります。DSCは過払い金訴訟などの稼いでいる企業で、H26年7月期の売上100億、純利益5億、純資産20億円くらいの会社です。明らかにRVHより大きな会社です。
10月に約3億でDSCの20%の株式を得て、ひとまず資本提携が行われます。DSCに絡んで行われた新株発行は90万株約2億ですが、これと同時に運転資金の調達目的に第三者割当増資が行われています。RICARO JAPAN(沼田氏がかつて社外取締役を務めた会社)へ新株予約権約126万株が発行されています。
11月にはDSCの連結子会社化が行われます。RVHからDSCへの貸付金1億円を弁済する形で自己株式を取得し、DSCの53%を保有します。これは極めて異常なディスカウントで行われています。直近の取引で20%が3億であったにも関わらず、33%が1億円という破格です。しかもDSCの自己株式の取得で行われているため、DSCに入った1億の53%はRVHに権利があるものになります。
12月にDSCの完全子会社化が行われます。RVH160万株の簡易株式交換で行われ、20%の希薄化が生じています。時価換算で10億相当であり、こちらは妥当な金額です。
この一連の子会社化の過程で、DSCが持つ90万株のRVH株は市場外取引で4社に譲渡されています。EVO ファンド、株式会社SEED、丸谷商事、株式会社オルフェウスへ30万、25万、10万、25万株譲渡している。
またDSCの株主についても、当初はPure Gold Asset Ltdが100%だったものが、完全子会社化の直前にはPure Gold Asset Ltdの持ち分が株式会社ジェイサイトと半々になっています。
ミュゼ買収 2015.11~
美容脱毛大手のミュゼプラチナムを運営するジンコーポレーションが任意整理入りしたことをきっかけにスポンサー支援を決定。12月には簡易株式交換235万株 16億円相当にてミュゼを子会社化した。子会社化の際にジンコーポレーションの債務を引継がない形で行っているが、ジンコーポレーションが負っている未消化役務はミュゼが肩代わりして消化する方針である。この未消化役務の総額が最大で587億円と巨額であるが、これを消化する対価としては事業用資産37億と租税還付債権41億の78億円があるのみで、78億を超えて消化してもただ働きになる格好だ。
さてこのジンコーポレーションが持つ235万株ですが、12月14, 21日の2日間に合計124万株がRICARO JAPANに8億円で渡っている。一方でRICARO JAPANは585100 株(4.97%)を単価662円で 27 年 12 月 18 日付にて市場外処分しており、身内の企業に5%ルールを逃れる形で流したと思われる。
グロワールブリエ東京買収 2016.9~
ミュゼと同業のグロワールブリエ東京のスポンサー支援を9月に決定。グロワールブリエ東京に一旦貸付けて、担保として事業用資産を取得するなど事業譲渡の土台を作り、2017.3月にグロワールブリエ東京はミュゼへ事業譲渡。グロワールブリエ東京は破産手続きに入った。この買収はRVHとしては異例で、株式の希薄化を伴わないものでった。
細かなことであるが、スポンサー支援決定から事業譲渡の間にグロワール・ブリエの株主が下田友洋100%から株式会社SEED100%に代わっている。
不二ビューティ買収 2017.2~
2月に不二ビューティを簡易株式交換270万株による子会社化を行う。このM&Aは2段階で行われ、ひとまず不二ビューティの株式の約2/3を54億円で取得し、残りの約1/3を簡易株式交換で取得する形であった。1段階目の54億円は現金での支出はせずに決済を先延ばしにして、子会社化後に不二ビューティの土地建物を代物弁済する形で行っている。不二ビューティはH28年9月決算で純資産1.2億、純利益3.6億の会社です。
この270万株については不二ビューティの株主であったG.Pホールディングが3月から4月にかけて株式会社SEED、丸谷商事、ジェイサイト、アドマンクリエイティブ、スターレイプロダクションに対してそれぞれ65万、60万、50万、60万、35万株を代物弁済で手放している。
上記のように社長の交代後からRVHはM&Aを繰り返し以前とは異なる会社となっています。上記の大きな買収以外にも細かな買収をいくつか行っていますが影響が小さいので割愛。
RVHの問題点は4つあると思います。
- ミュゼの500億を超える簿外債務。
- 不二ビューティの買収額の高さ。
- 希薄化懸念(買収の度に約20%の希薄化)
- 沼田英也氏の黒い噂、関連会社の存在。
1つ目の簿外債務についてですが、これはさほど大きな問題にならないと思います。というのも実債務はジンコーポレーションに残したままで処理しているので、ミュゼとしては認識する必要がないものです。ジンコーポレーションの契約が残る人の役務の消化に対して、キャッシュが入ってこないというだけの話です。機会損失にはなりますがキャッシュアウトを伴わないので時間と共に消化が進み、改善されます。利益0でもこなしているうちに次回の契約に結び付けば利益が出るようになります。
不二ビューティに関しては私は強く疑問に思っています。純資産がほぼ0、年間4億程度の利益(予想)に対して、80億の価値を付けたというのは異常でしょう。数年ほっておけば不二ビューティをもっと安く買うことができたはずです。来期以降の貢献を見てみないことには判断できませんが、RVHらしくない買収です。また、たかの友梨が得た270万株+54億円はいずれも代物弁済となっていることも大いに疑惑を呼びます。
希薄化懸念についてはとても憂慮しています。当初のリアルビジョン社はだめだめな会社で、買収を行う資本がないのですから希薄化を伴ってでも成長を選んだのはむしろ素晴らしいことだったと思います。ただ、ミュゼという金を生む事業を手にした時点で、希薄化から借入へと舵を切ってほしかったです。不二ビューティの買収に関しては本当に残念な行為で、希薄化なしで不動産譲渡のみでまとめられる話ではなかったのか。
沼田氏の人脈、関連会社の存在も不信感を高める一因です(※上記の太字の会社)。彼らが悪だというつもりはありませんが、かなりの頻度で企業買収に絡んで名前が出てきており、沼田氏と無関係とは思えません。
不二ビューティ(純資産1億の会社)に対して約80億で買収が行われたこと関しては、発行したRVH株270万株の大半が彼らの手元に収まっており、利益供与があったのではないかと邪推してしまいます。あくまで私が感じるだけですが。
一方でこれらの会社が株を処分せずに株主として名を連ねていることはポジティブに捉えていいと思います。彼らが売りに回る時こそがRVHを見限る時だと思います。今のところRICAROが5%ルールに引っかかっているのでRICAROの動向には注意しておいた方がいいです。
まとめます。
利益成長についてはミュゼ単体であれば非常に良いが、不二ビューティの買収で不透明になった。しばらく増収傾向であることは変わりないが、増益かどうか判断が難しく経営者の方針が見えない。ひとまずRICAROの動向に注意していればHoldしてもよさそうであるが、どこでexitするのか判断が非常に難しい。
ということで私は引き続き監視銘柄として扱おうと思います。
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