今年は株価の推移が大きな年でしたね。
2018年の本決算で2019年は微妙な着地をするだろうなとは思っていましたが、8月辺りの下げは予想していなかったです。今年は決算書は見ても株価は見てないので気にもなっていませんでしたが、ホルダーには辛い時期だったことでしょう。当然ですが私は1株も売ってません。
ではニチリンの2019年の大きなIRを見ていきましょう。
特損・特益
これは株価的にはマイナスインパクトが大きかったみたいです。
といっても一時1200円近辺まで下がったので欲しかった人は買い増しのチャンスでしたね。
中身を読む限りは特損として今期計上される額が多いだけで、プラマイを相殺させるとニチリンUKの分の1.3億ちょっとが乗ってくる程度ですので問題ないかと。上海ニチリンの特損は想定済みでしたが、むしろ資産売却でペイするのが驚きです。移転に伴う補償金等で特益が出ると踏んでいるので2020年は少なくとも5.6億円以上がプラス収支になるはずです。
海外連結子会社の生産停止に関するお知らせ(2019/8/9)
2019/12/31 上海ニチリンの生産停止
費用6.3億円を第2四半期に計上
固定資産売却益として同程度見込み(0.7億円を第2四半期計上、残り5.6億円を次期以降)
なお蘇州日輪は合計投資額38.3億円。
これによりカーエアコンホースの生産能力が1.4倍の200万m/月へ
2020/6/30 ニチリンUKの生産停止
費用 1.3億円を第3四半期に引き当て
業績予想の修正(2019/8/9)
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | |
予想 | 62,000 | 7,500 | 7,600 | 4,400 | 306.7 |
修正 | 61,000 | 7,000 | 7,000 | 3,500 | 243,6 |
増減 | -1.000 | -500 | -600 | -900 |
この業績予想の修正にはちょっと疑問が残ります。
営業利益が5億円のマイナスで、特損が7.6億円。合計で10億余りの当期純利益の減益になるはず。
特益の方で0.7億円を計上しているのを差し引いてマイナス9億円という勘定だろうか?
この修正時点でドル円レートを1ドル110円から106円へ見直しているようなので円高に伴う損失も3-4億円程度あるはず。結構厳しめの予想を出すニチリンではあるが、当期純利益の数字は個人的には下振れすると予想していますので、本決算前後で売買する人はかなり注意した方がいいと思います。
株主還元
これは非常に素晴らしい方向に舵を切っています。
今までのニチリンではありえなかった自社株買いまで行われています。
長期優待の新設まで行いました。東証1部を真面目に目指しているかな???
自社株買い(2019/9/27)
自社株買い 142,900株 249,885,300円 平均取得単価1748円
・10/1~10/31 62400株 99,060,800円 平均取得単価1587円
・11/1~11/30 56500株 103,320,800円 平均取得単価1828円
・12/1~12/12 24000株 47,503,700円 平均取得単価1979円
長期優待の新設(2019/11/12)
3年以上保有でクオカード2000円分UP
第3四半期決算
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | |
2018 | 46,203 | 6,288 | 6,433 | 3,560 | 248 |
2019 | 45,762 | 4,913 | 4,937 | 2,390 | 159 |
増減 | -1.0% | -21.9% | -23.3% | -35.7% | |
通期予想 | 61,000 | 7,000 | 7,000 | 3,500 | 243 |
経常利益 | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q |
2018 | 2,248 | 2,179 | 2,006 | 2,079 |
2019 | 2,076 | 1,354 | 1,507 | – |
第2四半期に5.6億円分、第3四半期に1.3億円分の特損が乗っています。
特損を除いた3Qと同等が4Qにも計上されるとすると、通期の経常利益は6,600程度となり、通期予想未達です。前期と同等であればギリギリ達成ですが、右肩下がりに経常利益が落ちている中でその予想は楽観的すぎると思います。
個人的な通期予想はドル円108円でこんな感じじゃないでしょうか?
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | |
予想 | 60,000 | 6,600 | 6,600 | 3,100 | 215 |
まとめ
米中での自動車景気に左右され、ちょっと本決算の数字が危うい気がします。
とは言っても営業利益率10%以上ですし、経営どうこうという話にはなりませんがね。
修正予想通りのEPS243円だとしても現在のPER8倍近く、ニチリンにしては高めの株価ですから本決算発表に絡んで買うのはやめた方が良いと思います。
株主還元については、最もインパクトが大きかったのが珍しく自社株買いを行ったこと。それも8月の急落に対応して9月には自社株買いの発表を行うなど、珍しく投資家目線の動きを見せています。
配当性向に関しても確か2016年までは10%程度で特に言及がなかったものが、2017年本決算では配当性向20%を謳い、2018年本決算では配当性向30%を目指すと宣言するなど、近年大きな変化を見せています。この2018年本決算の資料では自社株買いについても言及しており、明らかに今までのニチリンとは違い、経営陣の中に株主側に立って動いている人が居ます。2015年に前田社長に変わってからの動きなのか、別の役員の方なのかはわかりませんが、こういった人が内部にいると信頼できますね。
ニチリンがずーっと株主優待を残していること、さらに長期優待の新設したことも1部市場変更の前触れだと思うのですが、さすがに減益の最中で市場変更はしませんよね。もう2-3年じっくり待つとします。
減益ではあるものの製造業としては高い営業利益率を持ち、活発な投資を行っている最中ですので、私は継続してHoldです。ただし本決算はかなり厳しいと思うので、後ほど買いなおしますが本決算前に持ち分の1/3程度は売っちゃうかもしれない。
今の株価での新規買いは推奨しません。1400-1600円程度だと安心して買える値段だと思います。
配当は今期も来期もおそらく60円で固定してくると思います。EPS215円だとほぼ配当性向30%ですし、保守的なニチリンが期初から増配するとは思いにくいです。
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