昭和電工 2018年第3四半期決算

投資話

一度も昭和電工に関する投稿はしていませんが、現在ポートフォリオ2位で主力になっております。11月8日に決算発表がありましたので、簡単にまとめたいと思います。

さて、昭和電工をご存じない方にも分かるように概略を説明します。
この会社は石油化学、化学品、エレクトロニクス、無機、アルミ、と複数の事業軸を持つ会社です。無機事業の中に黒鉛電極というものがあり、これが現在、需給逼迫により高騰しています。前年同期比で国際市況価格が4倍強という恐ろしい値上がりです。原料となるニードルコークスも同様に値上がりしていますが、黒鉛電極の生産には半年以上かかると思われ、今年に限っては安いニードルコークスで清算した製品を高値で売ることができるため、異常な高収益を上げています。

昭和電工の場合、第3四半期決算で無機部門の売上、利益は
2017年 売上高426億円、営業利益24億円
2018年 売上高1922億円、営業利益979億円

もはや同一事業かも怪しいぐらいの凄まじい数字です。似たような決算がカーボン4社(昭和電工、東海カーボン、SECカーボン、日本カーボン)で出ています。

今回の決算で確認すべき点は
売上は3四半期累計で+1,611億円。その内、無機で+1,496億円。
HDDで数量減のためエレクトロニクス事業で減収。その他の部門は順調。
ですが短期での昭和電工の株価を占うという意味ではカーボン以外の業績は無視できる程度です。

2018年通期予想は売上高、営業利益、経常利益、純利益がそれぞれ
9850、1700、1670、1150億円
第4四半期の数字と第3四半期の数字が同じだとすると
9940、1911、***、***億円

カーボン価格はさらに上昇中で通期予想は確実に上振れて着地すると思われます。
純利益が1350-1400億円程度だとしても、EPSが940円程になります。

PER6倍としても5640は狙えると思いますが、PER10倍9400円は無理だと思います。
理由としては、来年以降の業績予想が困難だからです。
おそらく需給の逼迫により黒鉛電極の価格は上がるでしょう。だからといって、利益が伸びるとは限らないのです。原材料価格も高騰しており、利益率は低下するでしょう。しかし、利益の純額が増えるのか、減るのか、全く判断の根拠が持てません。2018年の通期は上方修正がなされるでしょうが、2019年は増収減益となる可能性が十分あるのです。
やはり6000円~7000円のどこかで売ってしまうのが確実ではないでしょうか。遅くとも本決算の発表までに売ってしまう方が良いと思います。

最後に決算説明会の資料で重要な点を挙げておきます。
・黒鉛電極の7-9月の国際市況は前年同期比4倍強。8月時点の予想より小幅に上振れ。
・第4四半期の日本、韓国の価格は5倍強で決着。
・アジア向けもう一段高い価格で決着
・下期のニードルコークス価格は8月時点と同じ、5倍程度
・1円円高で6億円の営業減益となる。

今の時点では原材料費と比例した以上の価格で値上げが出来ているようです。
価格上昇により第4四半期も間違いなく無機部門は上振れ。
今後も原材料費とのマージンが維持できるのかに注目しましょう。

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