ニチリン2018年第3四半期決算

投資話

11月9日に第3四半期の決算が発表されました。
併せて業績予想の修正も発表。概要を見ていきましょう。

上が今期で、下が前期になります。
2018年の第4四半期は修正された通期予想からの逆算した数字となります。

2018年 第1四半期 第2四半期 第3四半期 (第4四半期)
売上高 15,956 15,342 14,905 16,297
営業利益 2,456 2,000 1,832 2,312
経常利益 2,248 2,179 2,006 2,367
純利益 1,386 1,312 862 1,240
EPS 96.6 91.5 60.1 100.2

 

2017年 第1四半期 第2四半期 第3四半期 第4四半期
売上高 15,084 13,923 14,465 15,903
営業利益 2,400 1,990 1,977 2,149
経常利益 2,321 2,077 2,035 2,196
純利益 1,369 1,309 1,017 1,188
EPS 124.1 118.6 92.1 82.8

 

売上高は各期とも前年同期比でプラスとなるものの、営業利益以下は前年と同程度の水準に留まりました。
今回発表された通期予想では、経常までは増収増益の予定ではありますが、ベトナム新工場の建設に伴い旧工場の減損3億円を計上するため、当期純利益は減益となる予定です。

ここで問題となるのは、第4四半期に予定の利益を稼げるのか、ということです。
上図の第4四半期の数字は第1四半期の数字と同程度であり、一見達成可能に見えます。ですがこの数字を達成しただけでは、3億の特損を吸収しきれず下方修正となりかねません。特損の税効果を考慮しなければ純益で15億超を稼ぐ必要があり、かなり厳しいのではと感じます。
前期の第3四半期決算の時もほぼ同様の状況だったように記憶しています。純利以外は達成確実と思われたが、純利だけは通期予想への到達が困難な水準にいました。まさしく今回と同じ金額である、第4四半期単独での純利益が15億必要というシチュエーションでした。残念ながら2017年の本決算では純利益のみ未達に終わりました。

今回もその可能性が十分あります。2018年の本決算だけで言えば、営業増益で最終減益幅拡大を意識しなければなりません。

また為替の影響も大きいため見逃せません。
2018年 1ドル110円、1ユーロ130円、1元16円が想定レートです。

2017年 1ドル112.17円、1ユーロ126.70円、1元16.62円
11/14時点は1ドル113.92円、1ユーロ128.35円、1元16.38円
前期と比べてドル・ユーロは若干の円安。元は若干の円高となっています。
想定レートからはユーロがわずかに円高です。

あくまで個人的な見解ですが、2018年の本決算は純利益は減益で終わると思います。ニチリン発表の売上高予想が正しいのだとしたら、おそらく当期純利益46.5~47億の間ではないでしょうか。
EPS 325円程度。PER6倍で1950円。
ここがニチリンの下限と思われる株価です。
ニチリンには大いに期待していますが、連続増益の止まったor減速している企業の株がPER10倍超で取引されるとも思えません。元来5-7倍程度のPERで動く銘柄ですから、今回の決算は厳しい目で見ておいた方が良いでしょう。

私の懸念を上回る本決算を期待しています。

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