雇用保険料率とリターン

税金・保険料

雇用保険料って気にしたことありますか?
私はないです。

だって金額がちっちゃいから。
所得税や住民税とは桁が違うしね。

今回、退職したので失業保険を受ける側に回ったので、額面からみると実際に雇用保険ってどうなの?ってところを見ていきます。

個人的には生活保護と同じような匂いがぷんぷんしています。
どんなところがって?貰い得というか、やったもん勝ちというか。
正直者が馬鹿を見るような制度になってないか、きちんと検証しましょう。

雇用保険料率

そもそも幾らを支払っているのかをきちんと確認しましょう。

農林水産や建設を除く一般事業の場合、
労働者負担の保険料率は0.3%です。

これに加えて事業主は同額の0.3%を負担しています。
加えて、保険事業として追加の0.3%も負担しています。
全て合わせると0.9%負担です。

間違っても自分が払ってるのが0.3だからって、0.3で計算してはいけませんよ。
会社はその人を雇うことで、給与額ベースで100.9%を支払っているのですから。雇用保険がなければその人は本来100.9%を貰えるはずですからね。

1年働くと365×0.9% = 3.2
およそ3日分の給与を負担しています。

リターン

投資ではないのでリターンという表現は適切ではありませんが、便宜上この言葉を用います。

収入の程度によりますが、過去180日の平均日額の50-80%程度が支給されます。
支給上限があるので月収45万を超えるようであれば、payout ratioは下がります。

「失業保険の申請」で見たように失業した場合には最低90日分の失業手当が支給されます。具体的には以下の日数です。

自己都合退職や定年の場合

被保険者期間10年未満20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

倒産や解雇等の会社都合退職の場合

被保険者期間1年未満5年未満10年未満20年未満20年以上
30歳未満90日90日120日180日
35歳未満90日120日180日210日240日
45歳未満90日150日180日240日270日
60歳未満90日180日240日270日330日
65歳未満90日150日180日210日240日

ここから具体的な数字で計算しましょう

①大卒後、給与30万/月で6年働いた人が退職したケース。退職時28歳

雇用保険料は30万円×12ヶ月×6年×0.9% = 194,400円
支給額は
自己都合  基本手当日額5918円×90日 = 532,620円
会社都合  基本手当日額5918円×120日 = 710,160円

文句なく得ですね。
受給資格は保険加入期間1年で良いので、勤続年数が短いほど得になります。

②給与20万/月で10年働いた人が退職したケース。退職時35歳。

雇用保険料は20万円×12ヶ月×10年×0.9% = 216,000円
支給額は
自己都合  基本手当日額4865円×120日 = 583,800円
会社都合  基本手当日額4865円×240日 = 1,167,600円

年収が低いほど、payout ratioが高いために圧倒的にお得です。

③給与60万/月で20年働いた人が退職したケース。退職時45歳

雇用保険料は60万円×12ヶ月×20年×0.9% = 1,296,000円
支給額は
自己都合  基本手当日額8260円×150日 = 1,239,000円
会社都合  基本手当日額8260円×330日 = 2,725,800円

絶対値は大きくなりますが、自己都合退職に至っては損ですね。

注)雇用保険料率は毎年変化していますので上記は正確ではありません。

まとめ

実例では給与も年齢も勤続年数もまったくバラバラの条件で見てみました。
こんなので比較になるの?と思われたかもしれません。
感のいい人は気付いていると思いますが、失業手当の支給日数が勤続年数と比例していないんですよね。ということは年数が短いほど得というのが自明です。

また給与の額についても給与が上がれば上がるほどpayout ratioが下がるので、これも給与が高いほど不利なのは自明です。

年齢に関しては高い方が有利ですが、これは個人でどうにかなるものではありませんし、そもそも会社都合退職でなければ年齢は関係ないですからね。

ということで、給与が低く勤続年数が短い人ほど得をする制度です。ただ、こういった側面はある意味仕方のない部分でもあります。不意に失業してしまった方や社会的弱者を守ろうという社会福祉の部分が強いからです。この点に関しては何の異論もないですし、これで雇用を安定させているのだから素晴らしい制度だと思います。

ですがこの制度、実は何度でも利用できるんですよ。雇用保険の加入期間が12か月以上あればね。具体的には1年働いて失業手当を90日貰って、また1年働いたら再び失業手当90日貰うことができるんです。
これってある意味理想的ですよね。1年労働 → 自己都合退職 → 3か月の給付制限期間≒バカンス → 失業手当3か月 → また就職。以下繰り返し。
1年働いて、半年遊んで、また1年働く。遊ぶ期間の半分は国から補助が出るだなんて、素晴らしいよね。ヒモの人とか、内縁の妻とか夫とか、とにかく養ってくれる人やカネさえあれば、雇用保険からお金を引き出しながら遊んでいられるんですよ。
これを書くと怒られるかもしれませんが、産休・育休を繰り返して職場復帰せず退職するようなパターンと似ている感じ。働いている期間の方が長いだけマシかもしれませんが。

雇用保険のような社会的弱者や困窮者のための制度を悪用できてしまうってのが問題と感じます。悪用する人も、悪用できてしまう制度も、どちらも問題と思う。どんな制度にも抜け道があるので仕方がないかもしれません。ハローワークでも求職活動の有無を評価したりと、努力をされているようですが月2回程度の求職活動では抑止力にはなっていないように思います。2回しか求人に応募しない人が本当に就職を望んでますかね?
ハローワークに来ているおばさん連中の会話を聞いていると、楽な仕事がいいだとか、何々は嫌だとか、仕事に対する軽さを感じます。こいつらホントに働く気あんの?って。自分が失業手当をもらうことで、このレベルの人たちと同類と思われるのが嫌で嫌で仕方がないです。

なんだか話が逸れてしまいましたが、雇用保険は投資として考えるなら1年後とに退職した方が圧倒的に得です。
でも制度の主旨をきちんと理解して、悪用しないよう適正使用を心がけましょう。(利用する私が言うのもなんですが)


ちなみに私の場合の損得はどうかというと、
私個人の支払いが通算で29万円程です。
ということは3倍して87万円余りを雇用保険として私と会社で支出しています。
(最近は雇用保険料率が下がっているので正確ではないですが)
では貰えるお金はいくらかというと日額7505円×90日 = 675,450円です。
損してますね(笑)。

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