6786 RVH

銘柄検討

銘柄検討その8
3月決算、東証二部上場、時価総額140億円のRVHです。

あらかじめ断っておきますが、これまで検討してきた銘柄と異なりいかがわしい側面を持つ銘柄です。ちょこちょこ買ってるウェッジHDも社長は胡散臭い感じですが、会社運営という意味ではこっちの方が不気味な感じですね。あやしいからこそ投資妙味があるのですが、人には勧めにくい銘柄です。買われる場合は全額吹っ飛んでもいいような金額に抑えておいた方がいいと思います。

2017年3月決算
売上高 415億円、営業利益26億円、経常利益27億円、純利益8億円
営業利益率6.3%
EPS58円、DPS0円、BPS632円
ROE9.2%、ROA1.4%
自己資本比率15.4%
6月15日時点の株価672円

この決算の数字はなんの当てにもなりません。最近のM&Aが活発すぎて変動が大きいので、少し時系列を追って見ていきましょう。

長くなりすぎたのでRVHその2にまとめ直しました。
お暇な方は以下をどうぞ。

 

 


祖業は医療用モニタ向けグラフィックボードで、1996年に設立され2000年にマザーズに上場しています。5年以上前の決算が読めないので詳細が分かりませんが、株価の推移から想像するに赤字を垂れ流しながら規模が縮小していき、平成24年度3月期には最後の連結子会社であったWIDE corp.(韓国/産業用モニタの製造販売)が増資を行ったことにより連結から外れ、売上高1.6億・純損失2.6億を記録します。平成23年度は25.0億・純損5.3億ですから、売上は1/10以下になってしまい再起不能な水準と思われます。そのためH24年4月にソリトンシステムズを相手に第三者割当増資を行い(8000株/約1億)、約16%保有の第1位の株主になっています。同年9月には資本提携先がソリトンシステムズ→シスウェーブへ変更となり、8000株はシスウェーブへと渡っている。またシスウェーブの完全子会社であるソアーシステム社を取得している。

翌H25年には創業社長の杉山尚志氏(当時70歳)が高齢を理由に退職。杉山氏の持つ7419株はシスウェーブへと譲渡された。このころWIDE corpの残りの持ち株も処分し、リアルビジョン+ソアーシステムという構成になった。また同年2億円余りの第3者割当増資を行い、シスウェーブから上武を取得している。これらの経過の中で社長はシスウェーブ代表取締役の池畑氏が兼任となる。

H26年には旧シスウェーブ(SOL holdingsへ改変)がIT部門の切り離しを行ったことで資本提携を終了することとなり、シスウェーブの持ち株(26.31% 158.2万株)は譲渡総額約7億円でアンビシャスグループへと渡る。しかし、アンビシャスグループがSOL holdingsへと渡した手形が不渡りとなったため、SOL holdings 18.79%、アンビシャスグループ7.51%保有という状態へ。アンビシャスグループの株式は日下賢一郎氏のもとへと渡り約半数が市場内で処分されている。

また同年6月に池畑氏が一身上の都合により代表取締役を退き、RVH社外取締役からの紹介により沼田英也氏が新たな代表取締役へと交代する。既発の新株予約権を買い戻したり、SOL holdingsへの貸付を回収したり(約1億相当はSOL holdings株式へ転換)している。またSOL holdingsは返済のためリアルビジョンの持ち株18.79%(113万株/簿価1.9億円)を簿価でユーキトラストへと譲渡している。SOL holdings側のIRによると「リアルビジョン普通株式 1,130,000 株の譲渡先を選定している中で、今年 7 月中旬にリアルビジョン代表取締役である沼田英也氏の関係でユーキトラストの佐藤浩一氏をご紹介いただきました」とある。

同年10月に経緯はわかりませんが、株式会社DSC(過払い金訴訟で儲けてる会社)と資本提携を結ぶこととなり、DSCへ2億円90万株の新株発行 + 1億相当のSOL holdings株式譲渡と引き換えに、DSC株式の146株(20%)を譲り受けている。この時に運転資金の調達を目的にRICARO JAPAN(沼田氏がかつて社外取締役を務めた会社)へ新株予約権を約2.8億円 1265100株を発行している。ここで36%もの希薄化を行っています。また同月中に以前に取得していた新株予約権33.3万株を個人宛(沼田英也の個人的な知人である河口臣)に売却し、ここでも5%の希薄化を行っている。

翌11月21日にはDSCの追加取得が行われる。RVHからDSCへの貸付金 100 百万円を代物弁済する形で同社自己株式 520株を取得し、合計53.28%となり子会社化している。(参考までにDSCのH26年7月期の売上100億、純利益5億、純資産20億、BPS283万円)

同11月27日はDSCが保有する90万株のRVHを市場外処分する旨がEDINETに流れるが、RVHの承認手続きを経ておらずRVHから取り下げ申請を受けて取り下げられた。

12月にはK2Dを株式交換にて完全子会社化。78万株を発行し、7,012,700株→7,792,700株(内90万株は子会社DSC保有)で11%の希薄化を生じている。

12月15日にDSCが保有する90万株のRVH株のうち、500株を市場内処分、30万株を市場外処分。29日には25万株を株式会社SEEDへ譲渡、10.5万株を丸谷商事株式会社へ譲渡。H27年1月30日には株式会社オルフェウスへ残りの244500株を売却している。また同日付でDSCを簡易株式交換で完全子会社化している。この株式交換でさらに1600160株の発行を行い、8025700株→9625860株と約20%希薄化している。当時のRVH株価が600円程度であることを考えると約10億円相当の取引だったと言える。

4月にはDSCに過去の脱税疑惑が持ち上がり、RVHはDSCの連結除外を目論み、DSCの事業全体を新たに設立した子会社へ事業譲渡を行い、DSCを切り離している。

5月25日にソーシャルゲーム制作などを行う株式会社スカイリンクを87万株(6億円相当)で簡易株式交換にて子会社化。10710960株→11870960株と8%の希薄化。

11月に美容脱毛大手のミュゼプラチナムを運営するジンコーポレーションが任意整理入りしたことをきっかけにスポンサー支援を決定する。任意整理についてはビジネスジャーナルさんに要点がまとめられてますので参照ください。

12月に簡易株式交換(235.2万株 約16億円相当)にてミュゼの事業を子会社化した。11760960株→14112960株と約20%の希薄化です。スキームが分かりにくいですが、DSCの切り離しとよく似た形で行われています。というのはジンコーポレーション側の債権債務の影響を除くため、ミュゼプラチナムという新規子会社に事業用資産+金融負債+未消化役務債務を除いた形で美容脱毛事業を一旦譲渡し、ミュゼプラチナムに対して株式交換で子会社化という流れです。ミュゼの子会社化自体は16億相当の株式交換ですが、ジンコーポレーションがミュゼプラチナムに美容事業を譲渡する段階でミュゼプラチナムはジンコーポレーションに対して譲受け対価(暫定的に60億)を負っており、75億以上の買収になります。ただしミュゼプラチナムが負う譲受け対価はキャッシュの移動を伴うものではなく、ジンコーポレーションが負っている未消化役務を業務委託にて役務消化することで弁済します。またミュゼの事業用資産(37億円相当)も同様に役務消化を行うことでジンコーポレーションからミュゼに譲渡される形になっています。また譲受け対価の額は役務消化の総額と連動するように事後に変動する取決めにもなっています。
かなり強引にまとめると、RVHは債権債務や事業用資産、金融負債を切り離したミュゼプラチナムを16億相当の簡易株式交換で子会社化した。ジンコーポレーションが負う未消化役務を代理で行う代わりにミュゼの事業用資産を取得する取決めとなっており、事業用資産の額を超える役務消化はRVHから見ればただ働きになります。このただ働きは4半期毎にのれんとして認識され、随時見直される予定です。
これらの他にジンコーポレーションの債務整理のため、スポンサー支援金として2億円を支払っている。

さてこのジンコーポレーションが持つ235.2万株ですが、12月14, 21日の2日間に124.3万株がRICARO JAPANに8億円で渡っている。一方でRICARO JAPANは585100 株(4.97%)を単価662円で 27 年 12 月 18 日付にて市場外処分している。

H28年9月には30万株3億円を上限とする自社株買いは発表する。
同9月30日には美容脱毛業界のグロワール・ブリエ東京とスポンサー支援を決定。合計3.5億円の貸付けを行う。弁済まで1か月しかなく、後述の事業譲渡前提の契約と思われる。

H29年2月には不二ビューティを簡易株式交換2701600株による子会社化を行う。14182160株→16883760株で約19%の希薄化。不二ビューティの株主はたかの友梨の資産管理会社と思われるG.Pホールディングで、筆頭株主となりました。
この株式交換もトリッキーな方法で行われている。ひとまず不二ビューティの株式の約2/3を54億円で取得し、残りの約1/3を簡易株式交換で取得する。1段階目の54億円は現金での支出はせずに決済を先延ばしにして、子会社化後に不二ビューティの土地建物を代物弁済する形で行っている。
全体で80億円規模の買収になりますが、不二ビューティはH28年9月の決算では純資産1.2億、純利益3.6億の会社です。H27年度は純資産-2億、純損失19億を出しています。ここから土地建物を54億も抜けば、50億円超の債務超過になります。

3月にはグロワール・ブリエ東京を事業譲渡により取得する。譲受け対価は1円。スポンサー決定時に貸付けた3.5億の担保権の実行と従業員の労働債務の引受け約1億円を昨年10月に行い主要資産を取得済みであることから、残りの事業用資産をミュゼへと譲渡し、グロワールブリエ東京は破産手続きに入った。グロワールブリエ東京の負債総額は49億。
細かなことであるが、スポンサー支援決定から事業譲渡の間にグロワール・ブリエの株主が下田友洋100%から株式会社SEED100%に代わっている。SEEDはDSCがRVHの株式を譲渡した先であり、沼田英也氏との関連が疑われる。

3月~4月にかけて不二ビューティの資産運用会社と思われるG.Pホールディングは(株)SEED、丸谷商事、ジェイサイト、アドマンクリエイティブ、スターレイプロダクションにそれぞれ65万株、60万株、50万株、60万株、35.16万株を代物弁済で手放している。前3社はDSC譲渡に絡んでおり、沼田英也氏の関連と思われる。あとの2社に関してはG.Pホールディング側のつてだろうか。

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