M&A キャピタルパートナーズの新株式発行

投資話

5月26日付で70万株の公募増資が発表され、本日発行価額が決定しました。
6月5日の株価5480円に対して4%のディスカウントで5260円です。
1株5260円 × 70万株 = 36.82億円

オーバーアロットメントは10.5万株で、
1株5260円 × 10.5万株 = 約5.5億円
市場からの吸収額は最大で42億円、払込価格5040.8円なので当社の調達は約40億円になります。なお調達資金については2016年10月27日に買収したレコフの借入金35億円の返済に充てるとのこと。

借入金の返済に充てるとのこと。

 

公募増資の名目で一番嫌いなのは借金返済です。債務超過ならまだしも黒字かつキャッシュフローも潤沢な会社が借入金の返済のために増資するのは理解できません。借金返済では支払利息が減ること以外の利益貢献はないのです。

ひとまずM&Aキャピタルパートナーズの財務を見てみます。

H29年第2四半期 増資後予定 借入返済後
総資産 118億 158億 123億
純資産 59億 99億  99億
自己資本比率 49.8% 62.6%  80.4%
発行済み株式数 14,368,000 15,173,000
予想EPS 140円 132円
現預金 85億 125億  90億
借入金 35億 35億  0
営業cash flow +22億
投資cash flow -10億
財務cash flow +14億

キャッシュフローは第2四半期のものです。投資キャッシュフローには定期預入の5億のマイナスフローがあり、財務キャッシュフローには新規借入35億および借入返済18億が記載されています。
また右の列には増資後の状態および借入を返済した場合の状況を試算しました。

ぱっとみて分かるのは現預金85億で借入金の35億を十分に上回っており、一括返済可能な状態だとわかります。現金同等物に限っても約60億円保有しており、増資は不要です。

さて上記の状態で借入金の返済目的に増資する理由はなんでしょうか?

  1. 経営陣が無能
  2. 経営陣から見て現在の株価が割高
  3. 次なるM&Aを控えている

1は無借金、低配当を是として財務戦略など皆無な企業によく見られます。当社に限ってはM&Aを専門にしているだけあって、この部類に入れるのは無理があります。財務戦略もない無能な会社にM&Aが助言できるとは思えません。

では2はどうでしょうか。現在PER40倍近くであり、成長が望めないのであれば割高な水準です。ただし当社は現在成長中の企業ですし、2016年10月にレコフを買収しており成長意欲を見せています。レコフ買収後に思った以上にレコフの実態が悪かったのであれば納得できないことはないですが、それを差し引いても単体で成長中かつキャッシュに余力のある企業が無借金になるためだけに増資をするというのは不自然です。

となれば必然的に3があるのかなという気になります。この財務なら100億近い借入れも可能でしょう。実現するかどうかはわかりませんが、100億前後の買収に向けて動いているのでは?

上記はあくまで希望的観測です。IRの出し方が説明不足で嫌な感じですが、売却するほどの悪材料にも見えません。どのみち1単元しか持ってない私には5%程度の希薄化ではインパクトが小さいのでHoldします。

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