今回は可処分所得について調べてみました。
可処分所得の定義は総収入から社会保険料(年金+健康保険)、所得税、住民税を引いたものとします。
平成29年・東京都・サラリーマン独身の設定で社会保険料を試算しています。
介護保険料は考慮していません。
所得 | 300万 | 500万 | 700万 | 1000万 | 1500万 | 2000万 |
社会保険料 | 44万 | 69万 | 99万 | 117万 | 143万 | 150万 |
所得税 | 5万 | 14万 | 31万 | 82万 | 208万 | 371万 |
住民税 | 11万 | 24万 | 37万 | 62万 | 110万 | 159万 |
可処分所得 | 239万 | 392万 | 530万 | 737万 | 1037万 | 1318万 |
率 | 80% | 78% | 76% | 74% | 69% | 66% |
見事な累進性ですね。
年収2000万ともなると2/3しか残りません。
所得税の限界税率は45%ですから、住民税の10%と合わせて半分以上が税金として徴収されます。しかし、税はこれだけではありません。
手元に残ったお金を使う際には消費税が8%掛かってきます。
ということは実際に使えるお金は100/108になります。
所得 | 300万 | 500万 | 700万 | 1000万 | 1500万 | 2000万 |
可処分所得 | 221万 | 363万 | 491万 | 682万 | 960万 | 1220万 |
率 | 74% | 73% | 70% | 68% | 64% | 61% |
300~1000万前後までの一般的な年収でも1/4~1/3を税金として持っていかれます。
ここで終わると、よくある税金って高いよね。高所得者ほど稼ぐと損だよね、で終わってしまいます。ここからもう一段掘り下げて可処分所得を見ていきましょう。
実は給与所得者の負担している社会保険料は会社と折半になっています。
どういうことかというと、年収300万の世帯は社会保険料を44万負担していますが、実は会社も44万負担しています。会社から見ると、344万を支払って年収300万の人を雇用しているのです。支払う側から見れば、年収300万の人は実は344万円なわけです。そして、そのサラリーマンの手元に残っているのが221万円ということです。
所得 | 300万 | 500万 | 700万 | 1000万 | 1500万 | 2000万 |
(真)所得 | 344万 | 569万 | 799万 | 1117万 | 1643万 | 2150万 |
可処分所得 | 221万 | 363万 | 491万 | 682万 | 960万 | 1220万 |
率 | 64% | 64% | 61% | 61% | 58% | 57% |
会社負担の社会保険料を考慮するとこんな表になります。
果たしてどう思われるでしょうか。
私の目からは累進性はほとんどないように思います。
と同時に会社からすれば、高給取りだろうが薄給だろうが雇用にかかった費用の約40%が徴収され、実質的に60%しか残してあげれないことになります。
なぜ私がこんなことを考えているのかというと、投資法人を作った場合に有利か不利かを判定したくて計算しているのです。この場合、サラリーマンとは自分のことになります。
現在株式投資にかかる税金は20%ですから80%が手元に残ります。ですが、上記のように法人を設立して給与として自分に支払うと60%しか手元に残せません。40%の税負担が投資利益全体の20%以下になるようにするためには利益を50%以下に圧縮する必要があり、経費を発生させられる場合には有利になります。
兼業投資家で別途社会保険に加入している場合には、法人を作らない方が優位です。一等地に住んでいるなど家賃負担等で大きな経費を出せない限りは法人化のメリットがないように思います。なにより投資で増やすなら、経費をかけるのではなくて費用を削って投資資産を残す方が優先順位が高いです。
一方で専業投資家となる場合、国保・国民年金に加入する必要があり、損益分岐点を出す必要があります。ただ、この場合にも特定口座で源泉徴収の場合には、事実上の所得を0にすることができるため、国保などは減免措置を受けられるためやはり税負担は20%のみとなり、法人化しない方が有利と言えます。
やっかいなのは個人事業主で国保に加入している人です。この人たちは現在は事業と投資損益を通算できるようになるため、かつ社会保険加入による社会保険料負担の低減を狙うことができ、法人設立が現実味を帯びてきます。
ただ条件が複雑で一概に言えませんし、私自身は個人事業主でないため、ここでは深く考察しません。
結論としては株式や為替取引では法人設立の特段のメリットはありません。
経費で豪遊したい人には妙味があるかもしれません。
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