車両通行帯とは?

車情報・雑記

車線という表現をよくされますが、厳密には車線と車両通行帯は違います。
複数車線のある道路のうち、指定された道路のみが車両通行帯となります。

車両通行帯の指定があるか否かが種々の道交法違法の判断根拠になるため、しっかりと違いを理解しましょう。

車両通行帯の定義

道路交通法 第二条第一項第七号

車両通行帯 車両が道路の定められた部分を通行すべきことが道路標示により示されている場合における当該道路標示により示されている道路の部分をいう


その指定は都道府県公安委員会もしくは都道府県警が行う、とされています。

道路交通法 第四条第一項

都道府県公安委員会は、~略~ 政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置し、及び管理して、交通整理、歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる。 ~略~ 公安委員会は、その管理に属する都道府県警察の警察官の現場における指示により、道路標識等の設置及び管理による交通の規制に相当する交通の規制をすることができる。

その設置の仕方については以下のように定められています。

道路交通法施行令 第一条の二第四項

法第四条第一項の規定により公安委員会が車両通行帯を設けるときは、次の各号に定めるところによるものとする。
一 道路の左側部分に二以上の車両通行帯を設けること。
二 ~略~
三 車両通行帯の幅員は、三メートル以上(~略~やむを得ないときは、一メートル以上三メートル未満)とすること。

車両通行帯の標示

表示方法については「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の第三章に書いてあります。

別表第五(第九条関係) = 道路標示の種類・設置場所

規制標示

車両通行帯(109)
交通法第二条第一項第七号に規定する車両通行帯であること。

別表第六(第十条関係) = 道路標示の様式

一 高速自動車国道の本線車道以外の道路区間に設けられる車両通行帯

二 高速自動車国道の本線車道に設けられる車両通行帯

よくある白破線もしくは白実線です。
特に両者の区別はありません。

問題をややこしくしているのは?

ここまでは至ってシンプルですね。
1車線3m以上で片側2車線以上の道路は、車両通行帯の指定がされる場合があります。

この指定される場合があるというのが曲者で、当然に指定されない場合もあります。
両者の区別が現実的に不可能だというのが問題です。

何故かというと、実は車線の境界に設置してある線は車両通行帯境界線だけではのです。具体的には 「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の第二章で規定されている区画線としての車線境界線と、第三章の道路標示としての車線境界線が存在するからです。

第五条 = 区画線の種類及び設置場所

車両境界線(102)  四車線以上の車道の区間内の車線の境界線を示す必要がある区間の車線の境界

別表四(第六条関係) = 区画線の様式

別表第五(第九条関係) = 道路標示の種類・設置場所

指示標示

車線境界線(206) 四車線以上の道路の区間内の車線の境界であること。

別表第六 (第十条関係) = 道路標示の様式

これら3種の物が外観上、区別なく設置されているために、混乱が起きています。
車両通行帯の指定の有無を確認するには公安委員会もしくは警察署に確認しなければ、判断できないのです。

例外的に判断ができるものとして、車両通行帯の指定を前提とした規制が掛かっているケースがあります。具体的には、進路変更禁止(102の2)、車両通行区分(109の3~7)が定められているケースです。

交差点の部分で右左折レーンが黄色になっている箇所も同じですね。車両通行帯の指定を受けなければ進路変更禁止の標示ができないため、指定を受けているはずです。

こういった表示がある場合も、通行帯がそもそも規定されていなければできない標示のため、通行帯指定を受けています。

こういった紛らわしさから警察も時として誤摘発を行っています。

交通取締りの誤り発覚、富山県警高速隊
富山県警は6月3日、能越自動車道の一部区間で2003年5月から約6年間、追い越し車線を走行していた車両を誤って取り前伊、36人を道交法違反(車両通行帯違反)として検挙、切符処理していたと発表した。

https://www.jikochosa.co.jp/blog/?p=1205

東京外環道で2400人誤摘発 埼玉県警、車両通行帯違反

本来必要な県公安委員会の決定がないまま、片側2車線の車両通行帯と定め、追い越し車線を理由なく走り続けたドライバーを取り締まっていた。

https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2204E_S4A520C1CC1000/

取り締まる側も、取り締まれる側にも不利益になるような構造は早く解消した方がよいですね。 同じような2車線道路で指定の有無により走行ルールが変わるのは、覚えられないし間違いのもとですよ。
車両通行帯の指定がないからと言って、右車線をずっと走ることが許されるのかというとそうではないでしょう。道交法の主旨は、安全で円滑な通行のため複数車線がある場合には一番右のレーンを追越し以外で使わず走りなさい、という意味だと私思います。

道路交通法
道路交通法施行令
道路標識、区画線及び道路標示に関する命令

KiCTECさんの路面標示何でもコーナーが非常に見やすいです。
e-Govで読めない文字も起こしてくれているので助かります。

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