8938 LCホールディングス

銘柄検討

銘柄検討その9
3月決算、JASDAQ上場、時価総額70億のLCHDです。
1987年創業、1992年より株式会社本莊よりサブリース部門を譲り受け、2005年にヘラクレス上場。サブリースに代わる柱として、ここ2-3年は不動産ファンド事業に注力している。2014年からはソーシャルレンディング事業を開始し、管理物件を増やしている。また今期もしくは来期には上場REITの組成を目指し、すでに取得済みの物件の出口戦略を描いて大きく変貌している最中の会社です。端的に言えばイオンリートのように、アセットマネジメントもプロパティマネジメントもスポンサーも全てLCホールディングス資本のREITを上場させようと頑張っています。

ただ、大手不動産業者と違い、比較的小さな当社の自己資金のみでは物件の取得スピードが上がりません。そこでソーシャルレンディングを活用し資金を増幅し、REITへどんどんexitすることで、LCHDのフィービジネスとしてもREITとしてもwin-winの関係に持っていきたいようです。

2017年3月決算
売上高 69億円、営業利益6.2億円、経常利益5.9億円、純利益-2.8億円
営業利益率9.0%
EPS-51円、DPS5円、BPS906円
ROE**%、ROA**%
自己資本比率17.8%
9月6日時点の株価1298円

比較してもあまり参考になりませんが、5年前との対比です。

H22.3 H27.3
売上高 64億 69億
営業利益 1.2億 6.2億
経常利益 -0.2億円 5.9億
純利益 0.9億円 -2.8億
営業利益率 1.9% 9.0%
EPS 4448円 -51円
DPS 0円 5円
BPS 99649円 906円
ROE(当期純利益/-) 4.0% **%
ROA(経常利益/-) -0.2% **%
総資産 118億 282億
純資産 23億 48
現金同等物 4.4億 28.9億
長期+短期借入金 33.5億 141.4億

この5年間に第三者割当増資を1回、分割を2回(100分割、2分割)を行っています。
もっと言えば2012年1月にも社長宛の増資を行っています。
分割考慮していませんのでEPS等の評価には注意してください。

時系列に並べると、
2012年01月 第三者割当増資 本荘良一氏 4330株/約1億円 (19350株 → 23680株)
2012年10月 100分割 (23680株 → 約236万株)
2016年03月 第三者割当増資 金子修氏 41万株/約7億円 (236万株 → 278万株)
2016年12月 2分割 (278万株 → 556万株)

上記の決算書の数字は基本的にLCHDのサブリース事業の売上が主になります。
平成29年度3月期の決算までは新たに始めた不動産ファンド事業に関しては売上計上ができず、物件のexitが発生した場合には特別利益として利益分のみが乗っていました。このため、経常利益と純利益が凸凹で非常に見えにくい決算内容となっていました。具体的には平成28年度分の決算は-3億の経常赤字、+12億の純利益といった具合です。
これが平成30年期分からは物件のexitに対して売上計上が認められることとなり、平成30年期に110億分のexitを見込むLCHDの売り上げは前期69億+110億で180億円規模になる予定です。だからといって今までと事業内容がどう変わるわけでもありませんが、実態に近い数字が反映されることで、決算が見やすくなります。


さてここからが本題です。
現在LCHDの収益は1. サブリース事業によるもの、2. 不動産ファンド事業によるものに大別されます。サブリース事業は成長性や競争優位性に乏しい業態で、将来性は見込めません。不動産ファンド事業がどう成長していくのかで、この会社の価値が大きく変わります。

詳しく不動産ファンド事業を見ていきます。
現在はLCパートナーズがアセットマネジメント(AM)を行い、ロジコムがプロパティマネジメント(PM)を行って物件価値を向上させ、売却をもって利益という果実を得ています。また物件を組成する際のファイナンスの手段としてLCレンディングが個人投資家からお金を集めます。

LCHDが利益を得る手段としては以下の4つです。
・AM/PMによる収入。
・物件の運用収益。
・物件のexitによる利益。
・物件収益とレンディング利率の差益。

これらのうち、LCHDとしてはAM/PMによる収益を重視する旨の発言が出ています。AM/PM収益をストックとして積み上げるためにREITの組成、可能なら上場を目指しています。
現在は物件売却にてPM収益を喪失していますが、自社REITへexitさせることができれば物件売却利益を得ながらPMでも収入を得られるという状態になります。REITが大きくなればなるほどメリットが生じますので、LCHDとしては物件の取得を急ぐ必要があります。このためのファイナンス手段としてLCレンディングがあるという位置づけで、他のクラウドファンディング業者とは違いレンディングでは儲けるつもりはないと発言しています。

今期は自社REITの立ち上げ、および物件の売却を行う年であり、最低でも5物件110億の売上を見込み、新たに150億の物件取得を見込んでいます。決算動画などで言及がありますが、これらには病院関連は一切含まれていません。見通しが立てにくいので予想には入れず保守的に見積もったそうです。決算動画を視聴することをお勧めしますが、「今期の業績は下振れはあり得ず、間違いなく上振れします」という風に聞こえました。社長の発言を全面的に信用するかどうかは個々の判断に任せますが、着実に業容を改変し、REIT上場まで目前というところまで来ていますので期ずれの可能性はあっても達成しうると思います。

また6月時点のLCパートナーズの受託資産残高は342億になっており、遠くない将来にこれらの大半はREITへ売却されるでしょう。REITさえ成立すれば今期110億の物件売却があろうとなかろうと、数年以内に少なく見ても340億の売上が立つ見込みです。時価総額70億の会社が340億分の物件を捌けばインパクトはでかいです。exitすればするほど次の投資原資ができるわけですから、資産の取得は加速します。病院関連資産を扱うREITなんて皆無ですから独壇場。

ほかにポジティブな要素をあげるとすればダヴィンチと業務資本提携したことでしょうか。これに関しては未知数ですので正直判断しかねます。

ネガティブな要素としては病院関連をREITに組み込めない場合を考える必要があります。ただし、この場合も今期予想に含まれていないので決算で数字が悪くなることはありません。
他のネガティブ要素としては、病院案件がどうなのかという点です。病院案件のLC レンディング物件が2つ出ていますが、1つは7億で資産取得し、7000万/年のリースバック。1つは2億で取得し、4900万/年のリースバックです。2件目の案件は金額が小さいのでどう見ても個人もしくは夫婦/親子経営に毛が生えた程度の開業医です。たかが2億の物件で4900万の地代を払うのは通常あり得ません。目先の2億が必要な病院が、4900万なんて払えるのか?そもそも4年続ける気がないのでは?と疑ってしまいます。記載間違いであって欲しいとすら思いますが、レンディングの口座持ってないので質問できません。

と不安もないことはないですが、まずは自社REITを確立できれば当面は問題ありません。病院どうこうはオプションです。

現在1300円前後の株価は買い推奨です。時価総額が現在の倍の150億くらいまでは問題なさそうに思います。病院REITが流行れば時価総額300億も目指せるか。

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