5184 ニチリン

銘柄検討

銘柄検討 その3
12月決算銘柄のニチリンです。

マイナーな銘柄でご存知の人はあまり多くないかと思いますが、自動車用の各種ホースで圧倒的なシェアを誇る銘柄です。特に二輪用のブレーキホースは国内でほぼ100%のシェアを持っています。

先日H28年12月期の決算が出ましたのでざっくり業績をおさらい。

売上高 509億円、営業利益66億円、経常利益63億円、純利益36億円
営業利益率12.9%
EPS330円、DPS34円、BPS2229円
ROE15.6%、ROA13.5%

円高の影響で売上高は前年比+0.3%ですが、営業利益は+14.8%と改善著しい。
北米での採算性の向上や今期に子会社化したハッチンソン ニチリン ブレーキ ホーシーズによる影響のようです。

本日は株価急騰中で終値1916円、上場来高値を更新中です。
決算発表前は1750円前後で取引されていましたのでPER5.2倍と激安水準でしたが、本日の株価でもPER6倍にも満たないので明らかに安いと言えます。

来期予想も為替水準は1$ = 110円想定で
売上高540億円、営業利益66億円、経常利益66億円、純利益38億円
を見込んでおり、配当も34円→36円と2円増配となっています。
保守的な予想で毎期上方修正を行う会社ですから、増益予想が出てくるということは信頼してよいと思います。

5年前との財務体質の比較を行いますが、2011年は震災があったため2010年で比べます。

2010年 2016年
売上高 362億 509億
営業利益 16.8億 66億
経常利益 16.9億円 63億
純利益 8.8億円 36億
営業利益率 4.6% 12.9%
EPS 97円 330円
DPS 9円 34円
BPS 1069円 2229円
ROE 9.3% 15.6%
ROA 5.8% 13.5%
総資産 304億 488億
現金同等物  44億  117億
長期借入金  39億 17億

6年間の間にベトナム、タイ、インド、インドネシア、スペインでの拠点の設立や育成があり、円安も加わって素晴らしい業績改善が見られます。純利益は6年でなんと4倍になっています。また6年の間に長期借入金を20億以上も返済したうえで、さらに現金が70億以上も積み上げられています。営業利益率の改善も伴っており、盤石といえる体制になりました。この間に海外売上比率が上昇し、2016年決算では外部顧客への売り上げの約2/3が海外となり国内との比率が逆転しています。このため、円高による業績悪化がリスクになります。

ニチリンの問題点は配当性向10%程度と低すぎることです。東証2部銘柄とは言え、上記のような盤石な財務経営体質でPER5倍台で放置されているのは配当性向以外には理由が思い当たりません。逆に言えば、増配余地は大きく配当性向30%ともなれば株価は3000円を軽く狙えます。配当性向に関してははっきりした記述はなく、重要視されていないようです。せめて自社株買いでもしてくれればと思いますが、株主還元は消極的なようです。

またニチリンは東証1部昇格の資格を満たしていますが、2部に甘んじています。一説には2012年のアメリカ子会社の粉飾があったために昇格しないとも言われているようですが、経営陣に昇格する意思があるかは不明です。経営陣は株価や株主還元にはあまり興味がなさそうなので、いまさら1部昇格する意味もないような気がします。

ポジショントークになりますが、盤石の財務体制を軸に配当性向の上昇・1部昇格の可能性を見込んで strong BUYです。
2017年での目標株価は2100円。上記のイベント発生で3000円を予想。

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