LCHD H30年3月期決算-2

投資話

前回の記事では愚痴だけで具体的には何も検証していなかったので、改めて数字で評価します。

LCHDの収益で争点になるのは以下の3つ。
①サブリース部門
②不動産ファンド(商業施設等)
③病院関連

サブリース部門に関しては、変動が少なく例年売上60-70億、営業利益3-5億円程度です。
H29年3月期の当初予想である売上70億、営業利益5億円を仮定として流用します。

以下、時系列を追って②・③の規模がどの程度の物か推定します。

H30年の業績予想は売上180億、営業利益20億、経常利益15億、純利10億円です。
これはH29年3月期から物件5件売却110億、営業利益15億を加味した数字と思われます。
この時点では医療関係は予想に入れずに見積もったとなっています。

まず第2四半期に上方修正がなされます。
売上47億、営業利益3億、経常利益1億、純利-1.5億円

売上55億、営業利益8億、経常利益5億、純利2.3億円

修正の理由は医療等ヘルスケア施設への取組みが貢献となっています。
つまり③病院関連は差し引きすると半期で売上8億、営業利益5億を出したことになります。
ちょっと数字が高すぎるので、不動産の売却が入ってるっぽいです。後ほど計算。

次にH30年1月16日に5件の物件をポーリー・プラス投資法人に売却する旨のIR。
1月17日にLCグループから医療関連9件、商業施設9件をポーリー・プラス投資法人に売却するIR.

2月9日には下方修正。
売上180億、営業利益20億、経常利益15億、純利10億円

売上157億、営業利益32億、経常利益24億、純利10億円

修正の理由は物件売却の遅れによるマイナス、医療等ヘルスケアのプラス進捗。
また営業外収益として2.2億円が上記に織り込まれていることを3月20日にIR。

そして本決算
売上137億、営業利益15億、経常利益10億、純利2.6億円

修正の理由は投資法人への売却遅延により見込んでいた報酬20億が実現できず。


本決算の数字を分解してみます。
①サブリース(推定)
売上70億、営業利益5億

②不動産ファンド(2件売却)
IRにて1件は総資産38億の物件と書いてありますから売買代金は40億~でしょう。
2件目についてはIRが出ていないので分かりませんが、逆説的に7億以下の物件です。
(∵開示義務があるのは売上高の10%以上の変動)
第1四半期の貸借対照表では販売用不動産が13億減って、固定資産が6億増えています。
ということは差引で約7億の物件を売ったということではないでしょうか?
つまり合計で50億程度の売上。利益額は不明。
期初予想の売上110億利益15億から比較すると、利益は7億程度でしょうか。

③病院関連
売上8億、営業利益5億が半期の上方修正分です。
通期で売上16億、営業利益10億と想定されます。

①~③を合計すると
売上70+50+16=136億
営業利益 5+7+10=22億

実際の売上は137億、営業利益15億ですから
売上は計算上ほぼOK。
営業利益は7億円超えています。おそらく病院関連の利益率が高すぎるので、そこが異常値だろう。病院関連は売上16億、営業利益3億程度が実態に即しているのではないでしょうか。


続いてH31年度の予想を見ていきます。
売上150億、営業利益17億、経常利益12億、純利3.5億円

中身は
①サブリース(推定)
売上70億、営業利益5億

②不動産ファンド
売上7+α億、営業利益?(織り込み済みの1件)
+3案件6物件

③病院関連
売上16億、営業利益3億(推定)

逆算すると3案件6物件は売上57億、営業利益8~9億円

数字だけみると達成可能な数字に見えます。
ただ、前期に5物件110億の売却を予定して、実際には2物件の売却に終わったこと。
前期売却予定だった残り4件が今期売却予定に含まれているか不明なこと。
病院9件+商業9件のREITへの売却を失敗し、病院のみと方針転換していること。
など気にかけるべき点が多々あります。

一番心配なのは前期の物件売却遅延に関してで、LCHDが持っている物件がLCHDが期待している値段で売れないのではないかということ。だからこその売却遅延であり、それがゆえ将来的にお荷物になるであろう商業部門を今のうちに切るという判断になったのではないか。

いずれにせよ株主総会が開かれないと何もわからない。
株価も1500円程度では高値からは下がったとは言っても、昨年と大差なく暴落とは言えないレベル。REIT期待分が剥がれただけ。3桁になれば大きく買増すけど、この程度なら今まで通りちびちび毎月買うだけです。
LCHDに期待するのは一刻も早いREITの始動であり、業績の大きな変貌です。その起爆剤としてのLendingや病院という材料を持っています。サブリースと不動産転がしをするだけの会社なら他にごまんとあります。本莊さんも金子新社長もそのあたりは重々承知だと思いますから、総会ではREITの進捗や実現可能性について説明をして欲しいですね。

 


※2018/5/21追記
LCメディコムの利益について見落としていました。
2/19にEDINETに臨時報告書があり、病院関連施設7件との業務委託契約等を決議した旨。「前連結会計年度における連結経常利益(590百万円)の30%相当額以上、かつ、親会社株主に帰属する連結当期純利益(但し、前連結会計年度は損失のため算定額(395百万円)の30%相当額以上となることを見込んでおります」と記載があります。
つまり経常利益で2億以上、純利で1.2億以上と公表されています。
しかし1件当たりで利益3000万以上となる契約となると、賃料収入以外にはあり得ない気がします。REITへ入れる前の病院関連はメディコム事業として今後は扱うのでしょうか。賃料以外にLCHDがもつノウハウがあるんでしょうか。

コメント