ニチリン2017年本決算と中期計画

投資話

2月14日にニチリンの本決算が発表されました。

売上 営業利益 経常利益 純利益 EPS
計画 56,700 8,300 8,300 5,200 471
実績 59,375 8,516 8,629 4,883 340(442)
来期予想 59,500 8,500 8,500 5,000 348(452)

ざっくり概要をまとめると純利益を除いて計画を上回って着地しています。
配当に関してもさらに4円上積みして、年間48円(分割考慮前)となりました。
来年は50円配予定で、2円しか増配していないように見えますが、1月1日に1.3分割していることを合わせると48円→65円へと大幅な増配です。

来期の予想に関しては昨年の決算とそっくりです。
保守予想のニチリンがまたしても最高益を更新する予想を立てていますので安心していいでしょう。
来期の業績変化については同日発表の中期経営計画説明資料に詳しいので御一読ください。
特筆すべきは売上高増減予想のページです。この通りになるとは思いませんが、売上増の要因としてエアコンホースとブレーキホース、IHXの予想変化が開示されています。数字の変化が期毎に詳細であり、現時点で受注/失注が確定しているものが反映されていると思われます。IHXは2020年モデルまで6車種で受注が決定と別ページで書いてあり、2020年にIHX売上が増加することとも一致します。当面ニチリンとしては減収を回避できる自信があるようです。

次に為替の影響です。

2016年 2017年
USD/円 108.79 112.17
ユーロ 117.86 126.70
16.36 16.62

ドル円で3.5円動いたことで、前期比で売上高11.8億、営業利益3.6億の積み増しとなっています。
前期比で売上は83億、営業利益19億伸びていますので、為替の影響は15-20%程度です。

個人的な予想では1ドル=100円程度の円高はいつ起こってもおかしくないと思ってます。仮にそうなったとしても純利益40億程度は維持できるはずで、EPSで250-300くらいになるはずです。私の保有単価から見た場合、致命傷になることはないでしょう。

改定された中期計画についてですが、インパクトがなく特筆すべき内容はありません。
あえて言うなら来期の設備投資が60億規模と今期の倍以上になることです。まあ上海ニチリンの移転やアジアエリアの設備増強が絡むのでやむを得ないところ。

最も重要な点は珍しくニチリンから配当性向についての記述があることです。
”配当につきましては、基本方針のとおり安定配当を基調としますが、今後、概ね計画に沿った業績が継続すれば、中長期的には連結配当性向20%程度を目指し、徐々に増配することを検討してまいります。”
これは2018年の配当予想を配当性向でおよそ15%に設定したことから順調にいって2019年に20%になると思われます。

加えて、”現預金等については、リーマンショク、東日本大震災の経験、リコール等のリスクを勘案し、最低でも連結売上高の2~3カ月程度(借入金は除く)は必要と考えております。”とあるように現預金は100-150億程度は維持するようです。キャッシュを持ちすぎな気がしますが、保守的な会社なのでしょうがないです。来期60億の投資を増資せずにやり切れるのも、キャッシュを貯めてきたからですし、安心して株を持つためのコストとして割り切るしかないですね。

しかしこんな重要な情報が載った説明資料をHPで公表しないのは如何なものでしょうか。決算と説明資料の開示時間がずれており、数日存在に気づきませんでした。不親切ですよ、ニチリンさん。

とまあ、いろいろ言いたいことはありますが、来期予想も強気ですし、配当性向も示した。現在はPER8倍前後でニチリンとしては割安ではないのかもしれないが、今後も発展が期待されます。残りの持ち株は基本的にHoldし、続報を待ちたいと思います。

 

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